この記事を含め、AGI Journalの記事はAIと人間が工程ごとに役割を分担する分業体制で作っています。構成・執筆・原典照合・機械検証・批評・監修の6工程を分け、人間が握るのは公開可否と事実の最終確認の2箇所だけです。パイロット記事の実際の制作記録も添えて示します。

01結論:AGI Journalの分業体制を3行で

AGI Journalの記事は6工程をAIが分担し、人間は公開可否と事実確認の2箇所だけを判断します。

  1. 分業:構成・執筆・原典照合・機械検証・批評・監修の6工程に分けています。
  2. 人間:判断するのは「公開してよいか」と「事実は正しいか」の2箇所だけです。
  3. 記録:パイロット記事(AGIM-701)は改稿2回・批評2回を経た実測記録を公開しています。

この3行は宣言ではありません。以下、工程ごとの担当と、実際に起きた誤りをそのまま示します。

02記事ができるまでの分業体制|6つの工程と担当

1本の記事は、次の6工程を順番に通ります。前の工程を満たさない限り、次の工程には進みません。

工程主担当何をするか次に渡す条件
①構成Fable(ディレクター)記事の型・字数下限・図解の予定点数を設計する型と下限が決まったら執筆へ渡す
②執筆jp-writer(Sonnet、並列)frontmatterを含む記事本文を書く提出前チェックリストを満たしたら照合へ渡す
③原典照合vault-researcherprimary_sourcesの原典と自社実測台帳を突合する数値・主体・日付の不一致がゼロになったら検証へ渡す
④機械検証build.py/verify_site.py字数・表・図解・キーワード被覆などを機械判定する全項目PASSで批評へ渡す
⑤批評悪魔の代弁者(devils-advocate)「甘くないか」を専任で否定するPASS判定で監修へ渡す
⑥監修鈴木晋介(WEBMARKS代表)公開可否と事実の最終確認を行う承認したものだけが公開される

④と⑤でCONDITIONALまたはREJECT判定が出た記事は、②執筆へ差し戻されます。差し戻しは減点ではなく、この分業体制が設計どおり動いた証拠として扱っています。

6工程に分けている理由は、書いた本人が自分の誤りに気づきにくいためです。姉妹メディアAIO Journalの制作では、番犬プロセスと本体セッションが同じ記事を同時に書き、記事3本を上書きする事故が起きました。原因は、複数の実行が同じ範囲に同時着手したことです。

AGI Journalでは、執筆着手前に担当範囲を宣言するファイル(WRITER_CLAIM_<範囲>_<日時>.md)を先に置きます。宣言のない範囲には、他のワーカーが着手しません。これも分業体制の一部です。担当が重なる箇所を無くし、上書き事故そのものを起こさない設計にしています。

6工程の分業パイプラインと、④⑤から②へ戻る差し戻し矢印 記事は①構成→②執筆→③原典照合→④機械検証→⑤批評→⑥監修の順に進む6工程のパイプライン図。④機械検証と⑤批評でCONDITIONALまたはREJECT判定が出ると、共通の矢印で②執筆へ差し戻される。⑥監修を通過した記事だけが公開へ進む。人が判断するのは⑥監修の公開可否と、③原典照合の結果を⑥で確認し直す事実確認の2箇所だけで、残り4工程はAIが担当する。 FLOW 6工程の分業パイプラインと、差し戻しが起きる2箇所 ①構成Fable(ディレクター) ②執筆jp-writer(並列) ③原典照合vault-researcher ④機械検証build.py/verify_site.py ⑤批評悪魔の代弁者 ⑥監修鈴木晋介(代表) 人間ゲート:公開可否 ④⑤でCONDITIONALまたはREJECTなら②へ 公開(⑥承認後に反映) 人が決めるのは⑥の公開可否と、③の原典照合を⑥で確認し直す事実確認の2箇所だけ
6工程の分業体制パイプライン全体図

03構成と執筆を担当するAI|分業体制の起点

構成を担当するFableは、Anthropicが「オーケストレーター・ワーカー」パターンと呼ぶ設計に沿っています。中央のLLMが複雑なタスクを動的に分解し、ワーカーLLMへ委譲し、結果を統合する仕組みです(出典:Anthropic公式)。

Fable自身は記事を1文字も書きません。分解・レビュー・統合だけを担当し、実際の執筆はjp-writer(Sonnet)を並列投入して行います。構成AIが執筆AIへ渡すのは、次の4点です。

  • 記事の型(A〜G)と本文字数の下限
  • 図解の予定点数と、1枚目が表す主題
  • 参照する既存記事の有無(重複=カニバリの回避)
  • 「何を書くか」ではなく「何を満たせば合格か」という条件

構成AIは書く内容そのものを指定しません。満たすべき条件だけを渡し、表現は執筆AIの裁量に委ねています。この境界がないと、構成AIが実質的に執筆を兼ねてしまい、分業の意味が薄れます。

雑務を担当するワーカーも別にいます。記事マップの棚卸しや、frontmatterの形式チェックのような機械的な作業は、bulk-processor(Haiku、軽量モデル)が担当します。重い判断はSonnet、繰り返し作業は軽量モデルという分け方も、この分業体制の一部です。1つのモデルにすべてを任せず、作業の性質でモデルを分けることで、コストと精度のバランスを取っています。

04原典照合と機械検証|役割分担のなかでAIが数字と仕様を洗う工程

執筆を終えた記事は、書いた本人とは別のワーカーであるvault-researcherが照合します。primary_sourcesに挙げた原典を実際に開き、数値・主体・日付が本文と一致しているかを1件ずつ確認する工程です。

この工程が機能した実例があります。2026-07-28、社内のAIエージェントが台帳の古い表記「blocked」だけを根拠に、姉妹メディアAIO Journalを「1本も公開されていない」と報告しました。実際には251本が公開済みで、原典照合の工程がこの誤りを訂正しました。

機械検証はその後段です。build.pyqa/verify_site.pyが、本文実字数・表の数・図解要素数・primary_sourcesの件数などを機械的にPASS/FAILで判定します。項目数はおよそ9個です。人間が読んで感覚で判断する部分を、ここでは可能な限り数値の閾値に置き換えています。

具体的には、次のいずれかに当てはまる記事は機械検証の時点で止まります。

  • 本文実字数が型別の下限(全型共通で2,200字)を下回っている
  • 表・リスト・図解・primary_sources・本文中の出典明示・具体数値・本文H2のいずれかが下限を割っている
  • 90字を超える文、または5文以上の段落が1件でもある
  • 図解SVGが機械検品の基準(最小フォント14px以上・文字行34以内・図形34以内・role="img"<title><desc>の完備・縦横比1.3以上)のいずれかを満たしていない
  • frontmatterのdiagramsの宣言数と、本文中の図解プレースホルダの実数が一致していない

原典照合と機械検証は役割が異なります。原典照合は「事実として正しいか」を見て、機械検証は「形式の下限を満たしているか」を見ます。両方を1人(1体)のAIに任せると、自分が書いた前提を疑わないまま通してしまう恐れがあるため、担当を分けています。

05悪魔の代弁者による批評|分業体制に必ず入る「否定する工程」

機械検証を通った記事は、devils-advocateという別人格の批評ワーカーに渡ります。この工程の役割は「通す理由」ではなく「落とす理由」を探すことです。PASS・CONDITIONAL・REJECTの3段階で判定します。

実例として、パイロット記事AGIM-701の1回目の改稿後、批評ワーカーは公式ドキュメントと自社の実測データに当たり、15件の指摘を出しました。うち4件は重大と判定されました。

  • 稼働していない自社事例を「動いている」と現在形で書いた誤り
  • 公式仕様の誤記
  • 社内規約からの無申告の逸脱
  • 存在しない記事への参照

この4件は、書いた本人であるAIには見えていませんでした。批評を別ワーカーが担当する理由は、ここにあります。

社内では、記事が一見完成しているように見えても「100点でも120点」という基準を置いています。機械検証をすべてPASSした記事に対しても、批評ワーカーは「次の改善点を最低1つ残す」ことを求められます。基準を満たした瞬間に思考を止めないための運用です。

以下のいずれかに1つでも当てはまる記事は、批評工程で即REJECTと判定します。

  • ロゴが公式のものと違う、またはロゴがずれている
  • 文字が画像やレイアウトで欠けている・重なっている
  • 参照すべき素材・原本を確認せずに書いている
  • 決められた保存場所と違う場所に置かれている
  • 未確認の数字を断定として書いている
  • 誇大・断定表現(絶対・100%・必ず・最強など)が残っている
批評工程の判定フロー:PASS・CONDITIONAL・REJECTの3分岐 機械検証をPASSした記事が悪魔の代弁者に渡り、PASS・CONDITIONAL・REJECTの3方向に判定される図。PASSは⑥監修へ進む。CONDITIONALは指摘つきで、REJECTは無条件で、ともに②執筆へ差し戻される。右側には該当したら即REJECTとなる6条件(非公式ロゴ・文字欠けや重なり・素材未確認・保存場所違反・数字の断定・誇大表現)を列挙する。 BRANCH 批評工程の判定フロー:PASS・CONDITIONAL・REJECTの3分岐 入力:機械検証PASS済み記事 悪魔の代弁者(devils-advocate) PASS⑥監修へ進む CONDITIONAL指摘つきで差し戻し REJECT無条件で差し戻し ⑥監修へ進む ②執筆へ差し戻し 即REJECT条件 ・非公式ロゴ・文字欠け重なり・素材未確認 ・保存場所違反・数字を断定・誇大断定表現 1つでも該当→即REJECT 批評の役割は「通す理由」ではなく「落とす理由」を探すこと
分業体制における批評工程の判定フロー

06人間が決める2箇所|分業体制からあえて外した2つの権限

ここまでの5工程はすべてAIが担当します。残る判断は、次の2箇所だけを人間に残しています。

人間が判断すること対象なぜAIに渡さないか実際の手順
公開可否status: draft → reviewed → 公開送信・公開・削除は人間ゲートの対象操作鈴木晋介が最終承認し、承認後にビルドで公開状態へ切り替える
事実の最終確認primary_sourcesと自社数値の整合原典照合・機械検証は機械的だが、責任の帰属は人に残す監修時に正本データ(定量実績など)と改めて突合する
差し戻しの最終判断批評がCONDITIONAL判定を出した記事「甘さの許容度」は数値化しきれない鈴木晋介または委任された監修者が再修正の要否を決める

この線引きは技術的にも実装されています。Claude Codeの公式ドキュメントは、ツール実行の直前に発火するPreToolUseフックを定義しています。判定はallow(通す)・deny(止める)・ask(人に聞く)・defer(判断しない)の4値で返します(出典:Claude Code公式ドキュメント)。

{
  "hookSpecificOutput": {
    "hookEventName": "PreToolUse",
    "permissionDecision": "deny",
    "permissionDecisionReason": "公開・送信は人間の承認が必要です"
  }
}

「誰が書いたか」を明示すること自体にも根拠があります。Googleは、コンテンツの信頼性を判断する材料として、著者が誰かが訪問者にとって自明かどうかを重視すると述べています(出典:Google Search Central)。AI生成の利用が自明かどうかも同じ文脈で問われています。この記事の制作パイプライン表示は、その透明性要求への直接の回答です。

事実の最終確認を人間に残す理由も同じ発想です。原典照合と機械検証は機械的に再現できますが、「この数字を今回の文脈で使ってよいか」という判断は、正本データを知っている人にしか下せません。AGI Journalでは、02-company_knowledge配下の定量実績を唯一の根拠とし、監修時に改めて突合しています。公開・送信・削除・決済といった操作を自動実行しないという方針も、この2箇所の判断と表裏の関係にあります。

工程×決定権限のマトリクス、人間が決める列に入るのは⑥監修だけ ①構成から⑥監修までの6工程を、AIが決める・人間が決める・差し戻し可能という3つの列で仕分けたマトリクス図。①から⑤まではAIが決める列に丸が入り、人間が決める列に丸が入るのは⑥監修だけで、その1マスだけ塗りで強調している。差し戻し可能の列では④機械検証と⑤批評が実線の三角印、⑥監修は条件次第を示す破線の三角印で、いずれも②執筆へ戻る。右端には、事実の最終確認が③原典照合と⑥監修の2工程にまたがることと、公開可否は⑥監修だけが持つことを、それぞれ線で結んで示している。 MATRIX 6工程を「誰が決めるか」で仕分けたマトリクス 工程AIが決める人間が決める差し戻し可能 ①構成②執筆③原典照合④機械検証⑤批評⑥監修 事実の最終確認③原典照合+⑥監修 公開可否⑥監修のみが判断 ⑥監修の行だけ人間の列が埋まる。▶は②執筆への差し戻し(実線=無条件/破線=条件次第)
工程×決定権限のマトリクス図

07パイロット記事に見る制作パイプラインの実例|AGIM-701の記録

分業体制は設計図だけではありません。第1弾のパイロット記事であるAGIM-701(用語辞典型・ピラー記事)で、実際にどう動いたかを記録しています。

工程実測されている内容出典
初稿執筆jp-writerが本文と図解プレースホルダ3点を作成git commit ef2fd5d6
1回目批評後批評→改稿指摘15件、うち重大4件(稼働実態誤り・仕様誤記・規約逸脱・存在しない記事参照)AGIM-701本文の記述
2回目改稿→批評改稿2回・批評2回を経て図解3点を実装(2回目の指摘内訳は未公開のため)git commit ef2fd5d6
現状ステータス2026-07-28時点でfrontmatterのstatusはdraftのままAGIM-701 frontmatter

この記録からわかるのは、制作パイプラインが「1回書いて終わり」ではないという点です。AGIM-701は改稿2回・批評2回を経ており、この記事の執筆時点でもまだstatus: reviewedには達していません。

もう一つ、実測台帳が記録した誤りがあります。姉妹メディアの公開本数を確認した際、最初は本番トップページのWebFetch要約に出た「189本」という数字をそのまま報告し、検証していませんでした。実測はsitemap.xmlを数えた251本でした。要約ツールが返した数値を一次情報として扱わないことが、この失敗から加わったルールです。

08分業体制でつまずきやすい点

分業体制を作っても、次の4点でつまずくことがわかっています。

実測ではなく記憶で数字を書く:姉妹メディアの公開本数を「189本」と報告し、後に実測で251本と判明した例があります。WebFetchの要約結果を一次情報として扱ったのが原因でした。以後、数値はsitemap.xmlなど原典を直接数える方式に変えています。

台帳の古い表記を鵜呑みにする:稼働状況を管理する台帳に残っていた「blocked」という古い表記だけを根拠に、「1本も公開されていない」と報告した例があります。実際は251本が公開済みでした。台帳の記述と本番環境の実測は、別々に確認する必要があります。

型テンプレートの見出しをそのまま使う:記事型のテンプレート文言(「何が起きたか」「よくある誤解」など)をそのまま見出しにすると、狙うキーワードが目次から消えます。テンプレートはスロットの説明であり、見出し文そのものではありません。

図解を表の描き直しで済ませる:直上の表や箇条書きにある情報をそのまま絵にしただけの図解は、情報量がゼロと判定します。図には本文にない軸(時間軸・分岐・権限区分など)を最低1本足す必要があります。

AGIM-701の実測タイムライン、数字がある区間とまだ確認できない区間 AGIM-701というパイロット記事の制作を時系列で示すタイムライン図。初稿執筆(図解プレースホルダ3点作成)→1回目批評(指摘15件、うち重大4件)→改稿→2回目批評→現状(2026-07-28時点でstatus: draftのまま、図解3点実装済み)の順に並び、最後に⑥監修(未実施)を破線で追加している。2回目批評は指摘の内訳が未公開のため、その区間だけ破線の輪郭と薄い塗りで示す。 TIMELINE AGIM-701の実測タイムライン|数字がある区間とまだ確認できない区間 時間の経過 初稿執筆図解PH3点 1回目批評15件/重大4件 改稿②へ差し戻し 2回目批評件数は未公開 現状status: draft ⑥監修未実施 1 2 3 4 5 6 内訳は未確認 未実施 出典:git commit ef2fd5d6/AGIM-701本文の記述/AGIM-701 frontmatter(2026-07-28時点)
AGIM-701制作の実測タイムライン

09チェックリスト

記事を公開ラインに乗せる前に、この分業体制が守られているかを次で確認します。

  • frontmatterのauthorに「AGI Journal 編集部」が入っている
  • primary_sourcesの原典に、書いた数値・主体・日付が一致している
  • 自社の稼働実績は実測台帳に記録された数値だけを使っている
  • 未確認の数字・固有名詞にその旨の注記を付けている
  • 悪魔の代弁者の判定(PASS・CONDITIONAL・REJECT)に対応している
  • 公開可否の最終承認(鈴木晋介)を経ている
  • 記事フッターの制作パイプライン表示が、実際に担当したAI・人の名前と一致している

10FAQ

AGI Journalの記事はすべて人間が読んでから公開されますか

はい。批評工程を通過した記事も、鈴木晋介が公開可否を判断してから公開します。AIが単独で公開操作を行うことはありません。

分業体制の中でミスが起きたことはありますか

あります。2026-07-28、台帳の古い表記だけを根拠に姉妹メディアを「1本も公開されていない」と誤って報告した例があります。実際は251本が公開済みで、原典照合の工程で訂正しました。

悪魔の代弁者と機械検証はどう違いますか

機械検証は本文字数や表の数など、形式面をルールベースで判定します。悪魔の代弁者は「甘くないか」という質的な判断を、別人格として否定的に検証します。

第1弾の記事すべてが同じ工程を通りますか

設計上はすべてが構成・執筆・原典照合・機械検証・批評・監修の6工程と、2つの人間ゲートを通ります。ただし全50本が実際に完走したかどうかは、本記事の執筆時点では確認できていません。

記事の主張が正しいかどうかを読者が自分で確かめる方法はありますか

あります。各記事のfrontmatterにprimary_sourcesとして一次情報源のURLを列挙しています。自社の数値には計測日を併記し、未確認の内容にはその旨の注記を付けています。記事フッターの制作パイプライン表示から、どのAI・人が担当したかもたどれます。